大家重夫の世情考察

電話番号ネット掲示板公表事件

電話帳に記載されている実名、電話番号等をパソコン通信に無断で公開したことがプライバシーの侵害にあたるとして、20万2380円の損害賠償が命ぜられた事例である。

神戸地裁平成11年6月23日判決(判時1700号99頁)

原告Xは、個人で診療所を開業している眼科医で、ニフテイ(株)の会員である。
被告Yも、ニフテイ(株)の会員である。

XYともに、ニフテイの運営する掲示板を利用していた。
Yは、平成9年5月17日未明、Xの氏名、職業、Xが開設する診療所の住所及び電話番号等の個人情報をニフテイの掲示板に掲載した。
Xの氏名、職業等の個人情報は、医師会名簿には掲載されていても、ネットの参加者には公開されていなかった。Xは、個人情報をネットの掲示板システムに掲載されて、自己のプライバシーを侵害され、その結果、原告Xは、数名の者から無言電話のいやがらせの電話を受け、眼科の診療を妨害され、信用を毀損され、被害を被ったとして、Yに対し、不法行為に基づく損害賠償181万0360円(内訳、1,営業損害30万7980円、2,治療費2380円、信用毀損による損害50万円、4,慰藉料100万円)を請求した。

竹中省吾裁判長は、Yの本件表示は、プライバシーを侵害に当たるとして、20万2380円(治療費2380円、慰藉料20万円)および遅延損害金を支払うようYへ命じた。

インターネット掲示板で、プライバシーが暴露された者が勝訴した事件である。慰謝料20万円は低く、50万円程度にしてもよかったのではないか。

[参考文献]
新保史生「サイバー法判例解説」(岡村久道編・商事法務・2003年)92頁。
牧野二郎「ニフテイ・プライバシー事件」(岡村久道編「インターネット訴訟2000」(ソフトバンク・パブリッシング・2000年)222頁)


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中国政官データ[2016年5月版]

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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